前述ブログNO448の「使命の定義」は
使命 = ( 理想 + 奉仕 ) × 情熱 でした。
さて その内の「理想」とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
前述のグレッグ・アンダーソンは、理想(VISION)とは、世の中がどうあるべきかという理想像と、その中で自分が何者であり、どんな人間になるべきだろかという理想像を描く事だと言っています。
アンダーソンによると、自分なりの使命を生き抜いている人々は、何か一つの考えに
情熱を感じており、その情熱が、その人の行動の方向をはっきりさせているのだそうです。
一人ひとりが、「こんな風に生きたい」という、自分自身を有意義で有能な存在だと認めさせるような理想を描くことが「生きがい」のある人生を送る出発点だったのです。
そうなれば、自分を意義ある存在としてみなすようになり、単に「存在しているだけの」
存在から、使命追求の障害になるものすべてを 乗り越え、場合によってはそれを捨て去る事が出来るような、「存在価値を持つ存在」へと生まれ変わる事になるわけです。
たとえば、「自分は何か 人と違った事が出来る」「自分自身や自分の仕事・生活の
現状を改善・工夫する事ができる」という気持ちから、活力や意気込みが生まれ、目前の課題を成功へと導きます。
なぜなら、理想は、「一生懸命取り組んで、もっと先に進もう」という意欲、思い入れ、
自尊心、自発性といった形で表れるからです。
理想を追い求めている人をストップさせるのは困難ですが、理想を抱いていない人を
ストップさせるのは簡単です。
アンダーソンは、「仕事と使命は同義語ではない」と前提にして、次のように語ります。
「理想を持った人が出来る事と、単なる経営者ができる事の違いを理解しておくことは
必要だ。 経営者が動かすことができるのは、物質的な資源だけである。 それは
『資本』・『人の技術』・『原材料』・『科学技術』などである。
有能な経営者であれば、人々が生活できる程度の利益を確保し、優れた経営者であれば 品質を確保しつつ、予定通り、かつ生産的に仕事が為されることを見てとる能力に秀でている。
一方、理想を持つ人は、仕事に『自尊心』・『満足感』・『思い入れ』・『意欲』などを盛り込む。
人々が充足感に達するよう鼓舞し、より高いレベルの成功を引き出し、やりがいのある目的を成し遂げることに貢献する。
理想には、感情に訴える力がある。 人間の欲求の内もっとも根本的なもの・・・
『重要でありたい』や『他人とは違う何かをやりたい』、『役に立っていると感じたい』・『未来への遺産を残したい』などの欲求を満足させるのだ。
確かに、著者の私も、価値観論の観点から 多くの人々を観察していますが、世の中や自分自身に対して自分なりの理想像を抱いて働いている人々と、そうではなくて漫然と働いている人々の間には、大きな違いがあるように思います。
理想を描くことは、目標を持つことであり、目的地を決める事です。
勿論、即物的な目標を掲げ、未達成の場合にストレスや挫折感鑿を感じさせるような
目標ではなく、自分をより大きくするような目標、たとえば、「どんな仕事でも懸命に頑張る人間になろう」とか、「顧客様をもっと大切にしよう」、「いつでも、どんな状態でも学び続けよう」といった、広がりのあるビジョンを思い描く事が大切です。
このような目標を思い描けば、思い描いた時点ですでに一歩前進した事に」なるのです。 言い換えれば、単なる物欲や名誉欲ではなく、心理学上で「自己実現」と呼ばれる「自分のすべての能力や価値を発揮したい」という欲求を持つことが大切なのです。
この上記の自己実現の欲求は、たとえば 次の「フローレンス・ナイチンゲール」の日記に、遺されている。
「私が 今抱いている思いや感情は 6歳の頃から記憶しているものだ。 何か一つの職業、仕事、必要な技、何か私の全能力を用い、満たすもの。それが私に本質的に
必要なものだと 私はいつも感じてきた。いつもそれに憧れてきた。
私の思い出しうる 最初にして最後の考えは 看護の仕事だった。」
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