11-2-5付 「中小企業家しんぶん」 中小企業家同友会全国協議会発行、
コラム<円卓>より
「こころよく 我にはたらく 仕事あれ それをし遂げて 死なむと思う」
これは『一握の砂』に収められた 石川啄木の歌です。
自分にとって これこそ「天職」と思える仕事に向きあい、思う存分 力を発揮して
「やるべき事はやった」と 満足感を持って人生を終えたいとの願いを詠んだものでしょう。
「教育学」の泰斗、大田 堯さんは この歌から 人間の持つ二つの側面が読み取れる と
言います。
一つは、この「こころよく」とは、自分の心の中の満足、納得できるもの、他者とは違う
自己存在の表現。 もう一つは、「仕事」とは、他者の為に役立つ事であり、それが自分の
喜びになること。
すなわち 前者は、それぞれの異なる生命体が持つ 自己中心の欲求であり、後者は、
他人に寄りかからなければ 生きていけない「生命体」の宿命を現わしていると言います。
両者は矛盾した存在ですが、大田さんは この二つを調和させるのが、「働くこと」だと
説明しています。
そして石川啄木の歌は、「働くこと」の理想を表し、「完全就業」の歌と言ってよい、と説いて
いました。
コラム氏は 言います。 更に「就活」で苦労する若者たちと「働くこと」の意味を考えるのが
大人の責任と思いました」と
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石川啄木の この歌は 私にとって若かった10代で読み そこで捉えた感覚と、それから
50年も経ち 前期高齢者の仲間にもなり、社会の裏表を否応もなく知り 生活の重みを充分
に体験し、そして高校生・大学生の<キャリアコーチング>を推進したい、と意気込んでいる現在の私の感覚とは、比べ様もない段差がある。
しかし 歌人「石川 啄木」の持つ威力の源は、物事の本質をたった「31文字」で捉え表現
する「力」だと直観した。 大田 堯さんの指摘を待つまでもなく、人間という「生命体」の、
悲しい程の自己中心主義があっても、人は更に 人との関係性をつくり、深めていかなけれ
ば 成長も出来ないし、よりよく生きていけない事も気づかせてもらった。
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