今月(10月)11日~12日の新聞に、「マクロ政策」に関する「研究」の
功績(?)として、著名な米国大学の〈二人〉の学者が、ノーベル経済学賞を
受賞したという報道が為された。
「ノーベル賞」もの と言えば、「世界的な難題の解決に貢献した」という大変な権威を信じていたが、新聞報道をみる限り、現在の地球上を覆い尽くそうとする、世界的な「大金融危機」に対して、明確な『処方箋』を提出していたとは
まるで聞かない。
何でも、お一人は 金融政策や財政政策が、物価や雇用といった実体経済
に影響を及ぼす過程を研究した功績が認められた、と言う。
もうお一人の方は、政府が一時的に財政支出を増やしても、企業や家計が
将来の<増税>を織り込んで、投資や消費を 控える為に、効果が無くなる、等とする「合理的期待仮説」の代表的な研究者。と言う。
前者は、金融政策と景気の因果関係を分析する【計量モデル】を開発した。
現在 各国の<中央銀行>のエコノミストが、同モデルを発展させ、政策効果
の予測に使っているという。
私は以下 二つの点でこの『賞』に、反対である。
一、 今 現在の世界における最大の経済問題(=国際的な経済危機)の
直接原因である、リーマンショックの形成に対する「分析や予防」には 、
まったく 役に立っていない事。
これは、私が今年3月まで通学していた「放送大学院」のある経済学教授
が いみじくも語っていた(経済理論の無力を自覚した)の言葉に表れて
いる。 この「教授」は、現役の東北大学の経済学部教授でもある。
受賞学者の一人は、インタビューで 「我々が開発した手法は、現在の
混乱から抜け出す道を探るのに中心的な役割を果たすと思う」と言う。
さて どのくらい大規模な実態の調査と多面的な研究をしたのか?
むしろ、今後の世界経済は、過去の分析や現状分析などでは 到底予想
の出来ない「ハイパーインフレ」の中に突入するのだ!
「経済の大混乱」と これから予想される「庶民の塗炭」の苦しみを思う時、
やはり「学窓の中にいる学者」の一人よがりの「着眼点」は、「ノーベル賞」
の持つ「人類の生活と命に役立つ」と言う理念からはかなり「遠い」と言わ
ざるを得ない。
何が「マクロ政策」だ。私の視点からすれば マクロ政策には見えない。
更に無駄になる「金融政策」も、これからは せざるを得ないのだ。
少なくとも、受賞式の講演は、せめて「今に抱える世界的かつ甚大な経済
問題の防止に答えられなかった」事への 「反省」から始まって欲しい。
二、 今回の「受賞テーマ」のような、いわば「些細」な分野での研究ではなく、
「経済問題」の分野であればこそ、全地球規模・人類規模の問題点を研究
するテーマでの実績は、本当に無かったのか?
誰かが 壮大な「気宇と構想」の下、必死に 研究をしているのではないか?
特定の国に偏った受賞では無いと思いたいが、特に「経済分野」では、
「ケインズ派経済学」の有効性は、このすざましい昨今の地球上の社会・
経済変化の結果として、とっくに「賞味期限」は過ぎていると、私は判断して
いる。
様々な「学説」を統合化してこそ、未来は開かれるのではないか?
経済学者は 勇気を持って、早急に 経済学の新しい世界を切り開いて欲
しい。 そうでなければ、経済の大動乱の中で、各人・各国が勝手な
振る舞いを始めて、人類と地球上の「命」が脅かされることになる危険が
ある。
対処するだけでは行き詰まる
病気でも、予防と対処がうまくいけば死なずに済むのだ。
地球規模の「社会・経済」を見通せる経済学の確立を!
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