日経H22年5月12日付け 地球回覧欄 米国の「失われた10年」より
二つのバブルと、その崩壊を経験した10年間、米経済は 成長らしい成長をしていない。
景気の谷といわれる02年と09年、つまり 一回の景気循環の成長率は、年平均2%以下
であり 第二次大戦直後以来の低水準だ。
そして株価。 ダウ工業株30種平均は リーマン・ショック前の水準に一旦は 近づいたが、回復しても 10年前と変わらない。
「米国は繫栄し続けるから、株さえあれば安心」。
10年単位の株安は、長期投資を訴える証券会社のいう「常識」をぐらつかせる。
「確定拠出年金」が普及し、家計の半分以上が株を持つ 投資の国、米国。
突きつけられた「現実」は重い。
「アルバイトでもいい。一日でも早く 職を見つけてください!」
NY郊外でFP(ファイナンシャル・プランナー)を営む<スコット・ブルースター>氏(38歳)は
先月、隠居生活を送る、顧客の70歳代の夫婦に警告した。
夫婦の資産は「株安」と派手な生活で 想定以上にやせ細り、5年後には底をつく。
「我々アメリカ人は、繁栄の1990年代に立案した<人生設計>を見直す時だ!」と、彼は
強調する。
成長神話を誇った米国が、なぜ成長しない国になってしまったのか?
人々のこんな苛立ちを考えれば、ゴールドマン・サックスの不正疑惑が 国民的な話題になる
理由が分かる。
ウオール街は二つのバブルの中心にいた。
ITバブルでは アナリストが「株価」を煽るだけ煽り、「住宅バブル」では 「信用」を極大化
させた。そして、健全な「債権」の中に「サブプライム・ローン」という、健全性の低い<貧困者向け住宅ローン>を大量に潜りこませ、世界各国にばらまいた。それは まるで政府保証があるかの様に見せかけていた。その結果が、現在の「惨状」である。
失われた10年は、ウオール街が 暴走を繰り返した結果でもある。
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莫大な額の「サブプライム・ローン」を 各国の金融機関に売り捌いていた<ファニーメイ>などの住宅証券会社は、既に倒産し、アメリカ政府は元本保証すらしない。
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ある方の経済レポートを友人から読ませて戴いた。
CDS(取引をする上での一種の保険=そして相手の倒産を待つ保険)を含むデリバティブ
取引は、1999年10月以降、急激に膨張し、2008年の時点では、想定元本は
BIS(国際決済銀行)の報告によると 6京円(=1兆円の6万倍)の規模という。
この額は2010年現在でも変わっていない。
日本の国家予算が44兆~50兆円、日本国民の金融資産が1500兆円といわれているが、これらと比較しても、実際の生産・製造実態からかけ離れた「虚構の金融資産」が如何に桁はずれの金額かわかる。
今現在 話題の「ギリシャ」は、4月28日に 2年物国債の利回りが38%になった。
10年物の国債は13%。 ギリシャは国家として 我が国のサラ金よりも高い金利でしか
お金を工面出来ない。 これは既にギリシャは「国家破綻状態」にある事を意味する。
ギリシャのGDPは およそ日本円にして33兆円、日本の15分の1。
EU(欧州連合)とIMF(国際通貨基金)で決まった最新の支援策は1200億ユーロ。
これはギリシャのGDPのおよそ45%になる。
これを 日本のGDP500兆円に当てはめると、225兆円の融資。
ギリシャ経済が途方もない状態にある事がわかる。
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私は 昨年半ばから、既に「年金生活」に入っている「兄夫婦」や「妻の姉妹の家庭」に、
今後の年金生活の「危険」を伝え、なるべく外部との関係を切らさないよう、いざとなったら
働けるよう、身体を鍛えているように伝えていた。まだこれは自分の考え過ぎか?との思い
もあったが、今回の記事にもあった「FP]の警告を知り、あながち「杞憂」でも無い事を知った。
今回の国際的な「金融危機」に対応する、各国の膨大な「財政出費」を見るとき、もはや
各国政府の出来る対応策は、手詰まっており、今後に必要な財源は ひたすら各国政府
紙幣の印刷にしか方法が無いように見える。
そうなると、インフレ、それも凶暴な「ハイパーインフレ」になる。
ここでも 庶民は「塗炭の苦しみ」を味わうことになる。 あぁ~。
実物経済ではない、ものを生み出さない経済の「繫栄」など、ある筈は無い!
堅実な「ものづくり」、地に足がついた生活こそ 本物の未来を約束する。
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コメント
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