週刊新潮 11月5日号より 藤原正彦の管見妄語no25 「落とし所」
ものごとは 落とし所 というものがある。特に「会議」などではそうだ。
皆が 問題無いという様な事は もともと会議を開かなくても良いのだから、会議では大いに意見が分かれることになる。
良いりーダーとは こんな時 誰でもが「まあ、納得」する結論に導く人である。落とし所を間違わない人である。
ある時、数学者達に「人事」に関する投票を 〇か×でさせたら、数十個の×で大きな〇を描いて出した者がいた。
国際会議では、イギリス人がうまい。原理原則にこだわるドイツ人、論理をまくしたてるフランス人。
イギリス人は 目の前の「現実」を直視し、バランスを大事にする。
「落とし所」のわからないリーダーを持つと不幸だ。 会議はいつまでも終わらず、終わっても不満が残る。
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藤原正彦氏は 数学者であつて、「国家の品格」を著した人物である。
この文章で分かるように、国際的な活躍もしている。その生活の中で 様々な「国」のあり様も見聞されたので かってブームになった「品格論」を巻き起こす名文を誕生させたのだろう。
私も 当時 大いに啓発された記憶がある。
このコラムでは 一つは「りーダー論」であり、もう一つは「国民性論」でもあるが、私がこの文の中で興味を持ったのは 数十個の×で大きな〇を書いた人がいた という部分だ。
論理性を尊ぶ数学者にも、柔軟な感覚の方がいて 意外性とユーモアを感じた。
生きていく上で、「落とし所」と「ユーモア」は やはり「必須」なのだろう。
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