09,08,29付け 河北新報 <河北春秋>欄より
作家の故 藤沢周平さんに「未塾児」というエッセーがある。「熟」でなく「塾」。
娘を塾に通わせない藤沢家の流儀を書いた、30年近く前の文章だ。
▼教員の経験を持つ藤沢さんは「勉強しか出来ない人間になっては困るからである」と理由を 述べている。 子供らしく遊ばせたいし、掃除や料理の仕方も教えたいのだという。
▼三回目となる全国学力テストの結果が発表された。過去2回で好成績をあげた秋田県が、
今回も 8教科中5教科で全国トップに立った。 同県では塾に通っていない小学生は約8割、中学生も7割に近い。なのに「成績」がよい訳は?
▼秋田大学の浦野弘教授が 著書 『秋田の子供はなぜ 塾に行かずに成績がいいのか』で理由を書いている。
かっての日本では当たり前だった、学習環境と生活環境が今でもある」というのがその解答
▼授業に集中する、予習・復習を行う。朝食をしっかり摂る。つまり昔ながらのやり方を変えない事。 当り前をやれば 成績は後からついてくる。勉強もたいせつだが、もっと子供らしく。
藤沢さんが塾通いさせないもう一つの理由は「教育の加熱ぶりは ただごとと思えない」ことを挙げた。親も先生も社会も、どこの県は1番で、どこが最低だと一喜一憂する風潮に「この国は未熟児のままだ」と嘆いているかも。
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子供が 成長期に 勉強ばかりしている弊害は様々な、深刻な事態を各家庭におよぼしている。 結婚しても コンビニで出来合いのものばかりを買ってくる「新婦」さんは 身近にいました。 結果 1年ももたず「離婚」でした。 新婦のお母さんは 「付き合っているうちに、うちの娘が 何もできないのは分かっていた筈なのに」と語っていたとか。これは 親の躾よりも、親そのものの生活が成り立っていなかったのでしょう。 こんな母娘が 拡大再生産され その娘は 生活力を奪われ、理由も自覚できないまま 悲劇の主人公になってしまう。
日本の戦後の成長期のある時期から、家庭の「しつけ」よりも、ひたすら「勉強」だけさせてきた時代に突入し、基本的な生きる術を身につけさせないで放置してきた社会風土に「疑問」を感じていた藤沢さんのような人物は少ない。
どんな日本国を作るかを考える大人にとって 「未塾児」は かなり大きなテーマだ。
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